データ複製ソフトウェアは、データを保護するボリュームレベルの複製ツールです。このソフトウェアを使用すると、物理的に独立した一次および二次 Sun StorEdge 6920 システム間でディスクボリュームを、リアルタイムに複製できます。このソフトウェアはアプリケーションがデータボリュームにアクセスする間は有効になり、データをリモートサイトへ継続的に複製します。
障害復旧およびビジネス継続計画の一環として、このソフトウェアによって重要なアプリケーションの最新コピーをリモートサイトに保持できます。また、リモートサイトでアプリケーションの処理を継続するデータ回復方式のリハーサルも行えます。あとで、リハーサル中に本稼働データセットが変更されたリモートサイトを更新することと、リハーサルの一部としてリモートサイト上で変更されたデータを回復することができます。
このソフトウェアでは、データが一次ボリュームから二次ボリュームへ複製されます。一次ボリュームと二次ボリュームの関連付け、および各サイトでの対応する複製ビットマップによって、複製セットが構成されます。複製セット内のボリュームが初期同期されたあと、一次ボリュームと二次ボリュームに同じデータが格納されていることが、継続的に確認されます。
注 : 非同期モードの複製を使用している場合は例外があります。詳細は複製モードについてを参照してください。
注 : 他社製アプリケーションでは、複製中も引き続き一次ボリュームにアクセスできますが、二次ボリュームへはアクセスできません。
データを複製する場合は、一定の順序で書き込みが行われます。つまり、ソフトウェアによる二次ボリュームへの書き込み動作は、一次ボリュームへの書込み動作と同じ順序で行われます。その結果、二次ボリュームのデータと一次ボリュームのデータは確実に整合性がとられるため、一次ピアに障害が発生した場合にデータの回復を試みることができない、という事態を回避できます。
複数のボリューム上にデータベースを構築するアプリケーションなどで、複数のボリューム間で書込み動作の順序の整合性が必要な場合は、複数の複製セットを整合性グループに配置します。整合性グループでは、複数の複製セットを同時に管理できます。整合性グループを使用することで、グループ内のボリュームの書き込み順序が維持され、すべての二次ボリューム上のデータが確実に、対応する一次ボリュームと整合性のあるコピーになります。
2 つの Sun StorEdge 6920 システム間では、データが同期複製または非同期複製によって、ファイバチャネル (FC) 接続または Gigabit Ethernet ネットワークリンク (複製リンク) を使用して転送されます。次の図は、ネットワークリンク上でのデータ複製を示しています。
注 : システムは、長距離複製リンク経由でデータセンターの外部で移動するデータに対する組み込み認証または暗号化機能は提供していません。複数の Sun StorEdge 6920 システムを使用してリモート複製方式を実施している顧客が、セキュリティ保護された専用線を複製するか、または暗号化および認証機能を備えたエッジデバイスを使用することを想定します。セキュリティを適切に設定するための支援は、Sun Professional Services に連絡してください。
ネットワークが切断されるか、二次ピアが使用できなくなっている場合、ソフトウェアは自動的に中断モードに切り替わり、複製を中止し、複製ビットマップ内の一次ピアへの変更を追跡します。通信が再確立されると、複製ビットマップを使用してボリュームの同期が行われ、データの複製が再開されます。
一次ピアと二次ピアの役割を逆にすることで、二次ボリュームから一次ボリュームへのデータの復元も可能です。役割の逆転はフェイルオーバー技術の 1 つで、一次ピアの障害によって二次ピアが一次ピアの役割を担うようになります。一次ピアの障害が解消されるまで、アプリケーションソフトウェアは二次ボリュームに直接アクセスします。