マニュアルページ convert_external.3m
名前
convert_external - 外部バイナリデータ形式の変換
形式
cc [ flag ... ] file ... -lsunmath -lm [ library ... ]
#include <sunmath.h>
enum convert_external_arch_t = {
convert_external_sparc, convert_external_pc,
convert_external_vax, convert_external_vaxg,
convert_external_s370, convert_external_cray };
enum convert_external_type_t = {
convert_external_signed,
convert_external_unsigned,
convert_external_float };
enum convert_external_rounding_t = {
convert_external_common = -1,
convert_external_biased = -2,
convert_external_away = -3 };
typedef struct {
enum convert_external_arch_t arch ; /* 書式のアーキテクチャ */
enum convert_external_type_t type ; /* 書式の型 */
int size ; /* 書式サイズ、バイト (8 ビット) 数で */
} convert_external_t ;
fp_exception_field_type convert_external(const char *src_p,
convert_external_t src_format, char *dst_p,
convert_external_t dst_format, int rounding, int n);
fp_exception_field_type convert_external_(const char *src_p,
const convert_external_t *src_format_p, char *dst_p, const
convert_external_t *dst_format_p, const int *rounding_p,
const int *n_p);
機能説明
convert_external() は C プログラムで使用され、SPARC 以外のシ
ス テム上のバイナリデータと SPARC バイナリデータとの間で変換
を行います。データは、符号つき整数、符号なし整数、浮動小数点
数 で す。 convert_external() は Fortran プログラムの (CALL
CONVERT_EXTERNAL(...)) で同様の目的で使用されます。 こ の と
き、すべての引数は参照による呼び出しが行われます。
convert_external_t 型は、サポート形式の列挙です。各アーキ テ
クチャに対し、サイズが 1、2、4、8、16 バイトの符号つきまたは
符号なしの整数と、4、8、10、12、16 バイトの浮動小数点型が サ
ポートされます。変換元または変換先に正しくないサイズが指定さ
れた場合、変換は行われず、(1<<fp_division) を返します。変 換
元と変換先のサイズが正しければ、この例外が起こることはありま
せん。
サポートされているアーキテクチャと形式は次のとおりです。
external_t ビッグ/リトル float*4 float*8 float*10 float*12 float*16
アーキテクチャ エンディアン 形式 形式 形式 形式 形式
sparc ビッグ IEEE IEEE なし MC68881 IEEE
単精度 倍精度 拡張精度 4 倍精度
pc リトル IEEE IEEE i80x87 i80960KB IEEE
単精度 倍精度 拡張精度 拡張精度 4 倍精度
vax リトル VAX F VAX D なし なし VAX H
vaxg リトル VAX F VAX G なし なし VAX H
s370 ビッグ S/370 S/370 なし なし S/370
単精度 倍精度 拡張精度
cray ビッグ なし Cray-1 なし なし Cray-1
単精度 倍精度
MC68000 と SPARC は同じビッグエンディアン形式です。Intel PC
は、8086/8087、80x86/7、80486 のどれも同じリトルエンディアン
形式です。表の中の ``なし'' は、サイズが適当でないことを表し
て い ま す。 この場合、変換は行いません。``IEEE 4 倍精度 ''
は、IEEE 単精度および倍精度を 15 の指数ビット、1 つの暗黙 的
有効ビット、112 の暗黙的有効ビットを持つ形式へのビッグまたは
リトルエンディアン拡張を示します。
使用法
excep = convert_external(src_p, src_format, dst_p, dst_format, rounding, n);
excep
関数値は、変換中に検出されたすべての例外の累計値で
す。個々の例外を検出することが重要な場合、1 度に 1
つのデータ項目だけを変換するように n を 1 にしてく
ださい。
src_p
連続配列として格納された変更対象のデータへのポイン
タ。ポインタは境界合わせをする必要がないことを強調
するために char * で宣言されます。ただし、同じプロ
グ ラムでそれ以後 SPARC 形式に変更するデータは、適
切に境界合わせしなければなりません。
dst_p
連続配列として格納された変更後のデータへのポ イ ン
タ。
src_format
変換元データの形式についての記述。
dst_format
変換先データの形式についての記述。
rounding
変換先データに適用する丸めモード。
n 変換対象のデータ項目の数。
以下の丸めモードを選択できます。最初の丸めモードは、ほとんど
す べ てのアプリケーションの要求を満たすように意図されていま
す。
(int) convert_external_common
符号つき整数または符号なし整数形式の変換先をゼロ方向 に
丸める (2.9 は 2 に、-2.9 は -2 に丸める)
IEEE 浮動小数点形式の変換先を最も近いバイアスされていな
い値に丸める。
VAX 浮動小数点形式の変換先を最も近いバイアスされた値 に
丸める。
IBM 370 と Cray の浮動小数点形式の変換先をゼロ方向に 丸
める。
(int) convert_external_biased
最も近いバイアスされた値に丸める (整数の変換先の場 合、
1.5 は 2 に、2.5 は 3 に丸める)。
(int) convert_external_away
ゼロからの丸め (整数の変換先の場合、2.1 は 3, -2.1 は
-3 に丸める)。
(int) fp_nearest, fp_tozero, fp_positive, fp_negative
IEEE 754 で規定されているモードの 1 つで丸めを行う。
変換後、 (excep & (1 << fp_invalid)) != 0 が真であれば、1 つ
以上の無効例外が発生します。他の例外もこれと同じ方法で定義さ
れています。
fp_invalid
(1) 入力引数に IEEE シグナルを発生する NaN また は VAX
の 予約済みオペランドが指定された、(2) 入力引数が無限大
で、かつ変換先が符号付き整数型または符号なし整数型 だっ
た、 (3) 浮動小数点型に無限大表記がなかった、のいずれか
の場合。
fp_overflow
入力引数が有限数で大きかったが、通常の丸め誤差だけが 原
因 で変換先の形式で表現できなかった場合。変換先の形式が
符号つき整数または符号なし整数型の場合、fp_overflow は
整数オーバーフローを表します。
fp_underflow
入力引数が有限数で小さかったが、通常の丸め誤差だけが 原
因 で変換先の形式で表現できなかった場合。この例外は、変
換先が浮動小数点型の場合にだけ発生します。
fp_inexact
入力引数は有限数だったが、変換先の形式で正確に表現で き
なかった場合。
fp_division
変換元または変換先の形式がサポートされていない。変換 は
行われません。
外部データを SPARC 形式に変換し、SPARC 上で処理を 行 なっ た
後、そのデータを外部形式に戻す場合、SPARC 上の変換と処理で例
外が発生することはありませんが、この作業全体を外部システム上
で行なった場合と同じ結果が得られることはほとんどありません。
使用例
外部システム上でのデータの生成
次のコードは、外部システム上で Fortran を用いてバイナリ浮 動
小数点データを作成するための代表的な方法を示しています。
REAL A(100)
WRITE(9) A
C による外部データから SPARC 内部形式への変換
上記のバイナリ・データファイルが Cray コンピュータ上のテープ
で 作成され、そのテープが SPARC システム上で読み込まれたとし
ます。バイアスされた丸めを用いて、IEEE 倍精度浮動小数点形 式
に変換するには、次のようにします。
#include <sunmath.h>
char datasrc[800];
double datadest[100];
fp_exception_field_type excep;
int rounding;
int i;
convert_external_t src, dest;
/* ここで、Cray のデータを配列 datasrc に読み込む ... */
src.arch = convert_external_cray;
src.type = convert_external_float;
src.size = 8;
dest.arch = convert_external_sparc;
dest.type = convert_external_float;
dest.size = 8;
rounding = convert_external_biased;
excep = convert_external((char *) datasrc, src, (char *) datadest, dest, rounding, 100);
/*
* 通常、不正確例外は問題にしないので、
* 次の操作を行う。
*/
excep &= ~(1 << fp_inexact);
/*
* この例では他の例外が発生する可能性がある。
* そのような例外の発生場所は、次のようにして見つけることができます
*/
if (excep != 0) for (i = 0 ; i < 100 ; i++) {
excep = convert_external((char *)&datasrc[8 * i], src, (char *)&datadest[i], dest, rounding, 1);
if (excep != 0) {
/* datadest[i] についての特定の操作 */
}
}
Fortran による SPARC 内部データから外部形式への変換
SPARC プログラムで作成したデータを IBM PC に読み込ませ る に
は、次のようにして変換します。
#include <floatingpoint.h>
REAL*4 datasrc(100)
REAL*4 datadest(100)
INTEGER excep, convert_external, round
INTEGER src(4), dest(4)
c ここで配列 datasrc を作成 ...
src(1) = convert_external_sparc
src(2) = convert_external_float
src(3) = 4
dest(1) = convert_external_pc
dest(2) = convert_external_float
dest(3) = 4
round = convert_external_common
excep = convert_external(datasrc, src, datadest, dest, round, 100)
c 発生する可能性がある唯一の例外は、シグナルを発生する NaN を
c 変換することによる fp_invalid
c ここで、IBM PC が読み込むことのできるファイルにデータを書き出す
関連項目
dd(1M)
外部システムからテープを読み込む場合
xdr(3N)
任意のデータ構造をマシンに依存した方法で書式化する場合
注意事項
変換は一度に 1 段階ずつ行われます。まず、変換元データから す
べての入力を正確に保持するのに十分な内部形式に変換した後、内
部データを変換先の形式に変換します。したがって、変換元と変換
先のデータの組み合わせは自由ですが、ある特定の書式から別の書
式に変換するように書かれたプログラムを使用する場合よりも効率
的ではありません。