マニュアルページ lcrans.3m




名前

     lcrans - 線形合同法による乱数の生成


形式

     cc [ flag ... ] file ...  -lsunmath -lm [ library ... ]

          flag にはフラグ、 file にはファイル名、 library には ラ
          イブラリ名を指定します。

     #include <sunmath.h>

     #define LCRAN_MULTIPLIER 16807

     #define LCRAN_MODULUS 2147483647L

     int i_lcran_(void);

     float r_lcran_(void);

     double d_lcran_(void);

     void i_lcrans_(int *x, int *n, int *l, int *u);

     void u_lcrans_(unsigned *x, int *n,  unsigned  *l,  unsigned
     *u);

     void r_lcrans_(float *x, int *n, float *l, float *u);

     void d_lcrans_(double *x, int *n, double *l, double *u);

     void i_get_lcrans_(int *x);

     void i_set_lcrans_(int *x);

     void i_init_lcrans_(void);


機能説明

     これらの関数は、整数型、単精度浮動小数点型、倍精度浮動小数点
     型の一様疑似乱数を生成します。

     線形合同法による乱数は、次の式を用いた ..._lcran_()  に よっ
     て、一度に 1 つずつ生成されます。

          lcran_last = (LCRAN_MULTIPLIER * lcran_last) % LCRAN_MODULUS

     i_lcran_() は lcran_last を返し、 r_lcran_()  と  d_lcran_()
     は lcran_last / LCRAN_MODULUS を返します。これにより、乱数は
     次の範囲に含まれます。





型 | 下位境界 | 上位境界

      |  名前                               値|  名前                            値

______|_______________________________________|____________________________________


整数 | I_LCRAN_LB 1| I_LCRAN_UB 2147483646


単精度| R_LCRAN_LB 4.656612873077392578E-10| R_LCRAN_UB 1


倍精度| D_LCRAN_LB 4.656612875245796923E-10| D_LCRAN_UB 0.9999999995343387127


     lcran_last は 1 <= lcran_last <= 2147483646 を満たさなければ
     なりませんが、効率を高めるため、 ..._lcran_() ではその検査を
     行いません。

     線形合同法による乱数は、次の式を用いた ..._lcrans_() に よっ
     て、一度に *n 個生成されます。

           lcran_last = (lcran_multiplier * lcran_last) % LCRAN_MODULUS ;
           return scale * (lcran_last + offset) ;
     ここで、 scaleoffset は *l と *u から算出されるため、 算
     出 さ れ た乱数は [*l,*u] 内で一様に分布します。したがって、
     lcran_multiplier を変更すると、 ..._lcrans_() によって生成さ
     れ る乱数も変化しますが、効率を高めるため、 ..._lcrans_() で
     は LCRAN_MULTIPLIER を 16807 に固定して用いています。固定 の
     除数 LCRAN_MODULUS(2147483647L) は、 rand(3C) での欠陥を避け
     るため意図的に 2 の累乗になっていません。関数に入る と き に
     は、 ..._lcrans_() は 1 <= lcran_last <= 2147483646 を満たす
     かどうかを調べ、必要に応じて lcran_last を変更します。

     線形合同法による乱数発生アルゴリズムの状態 (  lcran_lastlcran_multiplier  の  2 つの整数の配列) は、 i_get_lcrans_()
     で取得したり、 i_set_lcrans_() で設定することができます。 初
     期の状態に戻す場合は、 i_init_lcrans_() を使用します。


使用例

  間隔 [0,1] 内で 1000 個の倍精度乱数を生成する
          double x[1000] ; int i, n = 1000 ;
          double lb = D_LCRAN_LB, ub = D_LCRAN_UB ;

          for (i=0;i<n;i++) x[i] = d_lcran_();          /* または ... */

          d_lcrans_(x, &n, &lb, &ub) ;                  /* 同じ出力がより効率的に得られる */

  間隔 [-10,+10] 内で 1000 個の整数乱数を生成する
          int x[1000] ; int n = 1000, lb = -10, ub = 10 ;

          i_lcrans_(x, &n, &lb, &ub) ;


関連項目

     addrans(3M), drand48(3C), mwcrans(3M), rand(3C),  random(3),
     shufrans(3M)

     Knuth 著,『準数値算法』( The  Art  of  Computer  Programming
     Volume II ), 渋谷政昭、中川圭介訳, サイエンス社.

     Park and Miller, Random Number  Generators:  Good  Ones  are
     Hard to Find, Communications of the ACM, October 1988.


注意事項

     lcrans(3M)addrans(3M) のどちらを使用すれば処理効率が向上
     するかは、プログラムが乱数生成関数を呼び出す回数によります。
     通常の用途 (50 以上の呼び出しがある場合) では、 lcrans(3M)drand48(3C)rand(3C)random(3)  に含まれる関数よりも、
     addrans(3M)、に含まれる関数を ( shufrans(3M) とともに) 使 用
     す る方が処理効率が向上します。また、50 以下の呼び出しの場合
     は、 addrans(3M) よりも lcrans(3M) を使用することをお勧め し
     ま す。 addrans(3M) は最初の呼び出しで、ADDRAN_SIZE に定義さ
     れている 55 のエレメントテーブルを初期化するため、 オー バー
     ヘッドが生じることから、この場合は lcrans(3M) のほうが処理効
     率は向上します。